コラム

錯覚の心理学 Part2

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  • 2020/07/23

錯覚はなぜ起きるのでしょうか?心理学では知覚心理学の分野で、知覚と錯覚について様々な研究が実施されています。
 
 知覚の「誤り」である錯覚には実に様々なものがあります。また、錯覚ではないものの、私たちの「知覚のクセ」によって起きる現象もあります。たとえば、有名なものとして、以下のようなものがあります。
 
奥行き知覚:
 
私たちの目の網膜は2次元構造のため、そのままでは3次元の空間を認識することができません。しかし、私たちの脳は色々な手がかりを利用して、2次元から3次元へ情報を変換して知覚することができます。

最も代表的な手掛かりは、私たちの目が2つあるということです。私たちの眼球は約6cmほど離れているので、左右の差を利用して奥行を知覚することができます。また、片目だけでも様々な手掛かりを活用して奥行を知覚することができます。

まず1つは調節という機能です。これは目の中のレンズの厚みを調節することで、奥行きを知覚するというものです。次に絵画的手がかりというものがあります。これは、いわゆる美術や絵画におけるテクニックであり、遮蔽・線遠近法・肌理の勾配・陰影などです。
 
ストループ効果:
 
たとえば「赤」という漢字が青色で書かれている場合と、単に「赤」という漢字が赤色
で書かれている場合では、漢字の色そのものを解答する際に、前者の方が回答までの反
応時間が遅くなる現象。
 
逆ストループ効果:
 
たとえば「赤」という漢字が青色で書かれている場合と、単に「赤」という漢字が赤色
で書かれている場合では、漢字の意味を解答する際に、前者の方が回答までの反応時間が遅くなる現象。
 
主観的輪郭:
 
実際には物理的には存在しない輪郭が生じる現象。たとえば、カニッツアの三角形などが有名。
 
運動残効:
 
一定方向に運動する対象を長時間観察した後、静止対象に逆流性の運動が知覚される現象。有名なものとして「滝の錯視」があります。滝は上から下に水が流れていきますが、この上から下への運動を長時間見た後に、滝から目を離して建物などの動いていない場所を見ると、実際には動いていないにもかかわらず、建物が上下に動いて見えてしまいます。
 
誘導運動:
 
目の視野内に運動する対象と静止する対象が同時に存在すると、静止対象が移動する
ように知覚される現象。たとえば、月と雲が同時に視野に入っているとします。この場合、雲は風の影響などもあり動いていますが、月は数分程度見ている程度では動きを認識できるほど大きくは動きません。

しかし、運動残効の影響により、月の方が動いて見えてしまいます。また、運動残効の例としてよく挙げられるものとして、電車に関するものがあります。これは、自分の乗っている電車は止まっていて、向かいのホームの電車が動き始めたとします。その場合、自分の乗っている電車が動いたかのように錯覚してしまうことがあります。
 
自動運動:
 
暗闇で静止した光点を提示すると、次第に光点が浮遊・運動しているように知覚される現象。たとえば、暗闇の中でロウソクに火がともされている場合、空調などもなく、風邪が無いにかかわらず、じっと火を見つめていると、灯がゆらゆら動いて見える錯覚を起こしてしまいます。
 
図と地:
 
何らかの形状を持ち知覚体験を生じさせる「図」の部分と、背景となって顕在的に意識
されない「地」の部分に分かれて知覚される現象。ただし、この関係性が頻繁に入れ替わる図と地が曖昧な図形もあります。

たとえば、「ルビンの壺」とよばれるものが有名です。ルビンの壺は黒い複雑な形をした壺にも見えるのですが、背景の白い部分に注目すると、向かい合った人間の横顔に見えます。このように黒と白の部分が図にもなり、地にもなってしまうのがルビンの壺なのです。
 
知覚心理学や錯覚については、こころ検定4級の第4章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。