コラム

少し変わった視点から心理学を考える part3

  • コラム
  • 2019/04/01

心理学の研究は一風変わった側面から物事を捉え、面白い結論を導き出しているものがあります。
  
心理学に関する研究は、私たち人間の“滑稽さ”や“上手く行かない歯がゆさ”についても、様々な角度から教えてくれます。
 
●かゆい所に手を届かせるためには鏡を使うと便利:
 
心理学者のクリストフ・ヘルムヒェン・カリーナ・パルツァー・トーマス・ミュンテ・シルケ・アンダース・アンドレアス・シュプレンガーたちは、幻視痛に関する研究を実施しました。
 
幻肢痛とは、傷病のため手足などが切断された後も失われた部分をまだ存在するかのようにありありと感じたり、痛み・しびれ・運動の感覚を経験したりする現象のことを指します。
 
実際には対象が無いにもかかわらず感覚的経験が生じるので幻覚と似ていますが、患者の精神状態や発生機序の点で幻覚とは厳密には区別されます。
 
この幻肢痛の治療には鏡を使ったミラーセラピーが効果的であるとされています。
 
そして、このミラーセラピーのメカニズムを応用したところ、身体の左側がかゆいとき、鏡を見て右側をかくとかゆみが治まるということを発見しました。
 
これは「実際に目で見て確認できる部分」と「脳や神経で感じる感覚」には差が生じるということを示しています。
 
●どんなものでも擬人化すれば性格が付与される:
 
ニュージーランド・マッセー大学のマーク・アヴィス、オタゴ大学のシーラ・ファーガソン、イギリス・バーミンガム大学のサラ・フォーブスたちは商品・サービスとマーケティングについて研究しました。
 
マーケティング分野には、ブランド・パーソナリティというものがあります。
 
ブランド・パーソナリティとは、商品やサービスを「もし人に例えたら、どんな個性・特性をもつか?」という考え方です。
 
これは、ブランドのイメージの評価に関して重要な要素であり、非常に注目される概念となっており、マーケティングの分野で様々なブランド・パーソナリティの測定方法が提案されています。
 
マーク・アヴィスらはブランド・パーソナリティの従来の測定手法を批判的に検討する研究を実施し、その中で何の変哲も無いただの岩石を商品と仮定して実験を実施しました。
 
そして、何の変哲も無いただの岩石に対して、ブランド・パーソナリティに関するアンケートを実施した結果、「グラマラス」「感傷的」「現代的」など驚くほど詳細かつ多様な評価が得られました。
 
つまり、ただの岩石のような物体に対しても、私たちは擬人化することで、個性やパーソナリティを見出してしまうということなのです。
 
●「からだ」と「こころ」の間違った連動:
 
バーリ大学のマリーナ・デ・トマソ、ミケーレ・サルダロ、パオロ・リヴレアたちは、目で見ているモノと痛みの感覚に関する研究を実施しました。
 
マリーナ・デ・トマソらは、実験参加者の手に強力なレーザー光線を照射するという実験を実施しました。
 
このレーザーは多少の痛みを伴うものであり、照射された実験参加者は手に痛みを感じます。
 
そして、実験に関する条件として、レーザーを照射されている際に、可愛らしいイラストを見る条件と醜いイラストを見る条件の2つの条件を設定しました。
 
その結果、醜いイラストを見ていた人は可愛らしいイラストを見ていた人よりも、比較的強い痛みを感じるということが判明しました。
 
本来、何を見ているかと、手の痛みには何の関係もないはずです。
 
しかし、私たちは自分の「からだ」に起きていることと、何の関係もない今、見ているモノや聞いているモノの影響を受けてしまうのです。
 
●見ようによっては、何でも顔に見えてしまう:
 
中国・北京交通大学のJiangang LiuとLing Li、西安電子科技大学のJun LiとJie Tian、中国科学院自動化研究所のLu Feng、トロント大学のKang Leeたちは、変像効果(パレイドリア)についての研究を実施しました。
 
雲の形や木の木目、トーストの焦げ跡などのように「見ようによっては、人の顔に見える」ものを提示した時に、人間の脳で何が起きているかを検討しました。
 
その結果、視覚的刺激の中に、人間の顔などのような「一見すると、何か意味があるようなもの」を見ると、私たちの脳はすぐに顔などを認識してしまうような情報処理を進めてしまうということが判明しました。