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日常用語も心理学では〇〇になる part7

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  • 2018/04/27

― 日常と科学の間にあるもの ―
 
 心理学の辞書に掲載されている用語の中には、私たちが日常生活で当たり前のように使っている言葉を少し違った観点から捉えているものがあります。そんな「よく耳にする言葉の心理学的側面」について解説したいと思います。
 
①アイ・コンタクト
 
 アイ・コンタクトというと、単に「目くばせ」という意味であると感じる方も多いのではないでしょうか。心理学において、アイ・コンタクトとは、二者間で互いに相手の目に意識的な視線を向け見つめ合う状態のことを指し、相手との積極的な関与を示したり、相手からの即時的な反応を期待して用いられる凝視の一種とされています。互いに相手の目に視線を向けることは、高度な覚醒を伴うものであり、自他の識別を促し、意図的な自己表現や感情表出をもたらすものとなります。ただし「AさんとBさんが今、アイ・コンタクトをしているかどうか?」を厳密に測定するのは非常に難しいとされています。
 
②イノベーション
 
 イノベーションという言葉はIT関連の業種などでよく耳にするのではないでしょうか。一般的には、イノベーションは新機軸あるいは革新という意味があります。心理学では特に、個人もしくは組織、集団によって新しいと知覚されたアイディアや行動様式、物であるとされています。元々、イノベーションという言葉は経済学者のシュンペーターが技術革新・組織革新という意味の学術用語として確立した概念です。この概念は新しい技術・製品・知識・風俗・制度が生み出され、それが社会に受容されていく過程までも含めるとされています。従って、イノベーションとは単に何か「新しいコト・モノ」の出現だけではなく、コミュニケーションを通して、多くの人達に伝達されていく普及過程や伝播も視野に入れたものなのです。さらに、製品・技術・機械・建造物などの物質文化だけではなく、宗教・芸術・科学・思想などの精神文化、風俗・習慣・諸制度などの行動文化にもイノベーションが存在しています。そして、イノベーションは自律的かつ一貫性のある積極的少数派によってもたらされるとされています。
 
③カフェイン
 
 カフェインといえば、眠気をスッキリとさせる成分というイメージが強いのではないでしょうか。カフェインはお茶・コーヒー・ココアなどの飲料に含まれる中枢興奮薬であり、医薬品としても用いられるものです・カフェインは大脳皮質や延髄の興奮を起こし、疲労感を軽減し、覚醒レベルを高め、知覚・運動機能を高める、筋の収縮力増強、心機能亢進、血管拡張作用、利尿作用、胃液分泌促進など全身に影響を及ぼすものです。カフェインの摂取は軽い習慣性を生じさせますが、摂取の中止による禁断症状が生じることはあまりありません。ただし、過度の摂取により、不眠・精神的な不安定さ・感覚障害・震え・骨格筋緊張などを生じることがあり、注意が必要です。

④利き手
 
 右利き・左利きなどの利き手があるかと思います。少し学術的に説明すると、たとえば、左利きとは、左手や左足などの身体の左半分が右半分より器用さや運動能力が優っているという状態を指します。ただし、利き手の場合は育児の過程で矯正される場合があるので「本当の利き手」が左右どちらなのかについては、一概には決めにくいということがあります。右利き・左利きの左右差を作り出しているのは、大脳半球の左半球が右半身を制御し、右半球が左半身を制御しているからであり、いずれかの半球が優位になることで右利き・左利きが生まれるわけです。右利きの約95% 以上の人が左半球による発話を行っており、左利きの約70% の人が右半球による発話を行っているとされています。これは字を書く時のスタイルにも表れており、言語を司る領域のある大脳半球と同じ側の手で字を書く人は、手を逆さまにしてしまうことが多くなるとされています。
 
⑤気分
 
 気分とは「憂うつな気分」「今日は気分が悪い」や「楽しい・幸せな気分」「今日はとても気分が良い」などのように表現される時に使われます。心理学において、気分とは「ある程度の期間持続する気持ち」と定義されており、厳密には「感情」と区別されるものです。気分に関する分類としては、心理学者のマシューズらの研究が有名です。マシューズらは、気分を「生き生きとした」エネルギー覚醒、「いらいらした」緊張覚醒、「楽しく幸福な気分という意味の」快感度という3因子からなるとしています。