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日常用語も心理学では〇〇になる part1

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  • 2018/01/29

 心理学の辞書に掲載されている用語の中には、私たちが日常生活で当たり前のように使っている言葉を少し違った観点から捉えているものがあります。そんな「よく耳にする言葉の心理学的側面」について解説したいと思います。
 
①愛
 
 心理学において、愛は精神分析、発達心理学、家族心理学、社会心理学、宗教心理学、犯罪心理学など多くの領域で研究対象となっています。特に、親の子どもに対する愛は、父性・母性の問題として発達心理学や比較行動学で検討されています。一方で、子どもの親に対する愛は、愛着の問題として発達心理学において研究され、異性の親に対する愛についてはエディプス期の中心的な問題として精神分析で考察されています。さらに、恋愛関係における愛は、青年期の発達課題や対人魅力や親密な対人関係の問題として青年心理学や社会心理学の領域で検討されています。

 心理学における愛の定義は、研究者により様々であり、統一的ものはまだありません。そこで、統一した定義ではなく、愛をいくつかの種類に分類するということも試みられています。

 たとえば、ハットフィールドとウォルスターは強い情動体験や感情の混乱を特徴とする熱愛と、穏やかな親しみの感情を特徴とする友愛とを区別しています。また,リーは互いの全てを知ろうとするロマンティックで性的な愛であるエロス、自己中心的でゲームや遊びの要素が強いルダス、友情のように穏やかなストーゲイの三つを愛の基本類型とし、これらの組合せによる強迫的で苦痛や痛みを伴うマニア、功利的で計算高いプラグマ、そして、献身的で自己犠牲的なアガペの合計6種の愛の類型を挙げています。また、ルビンは愛を測定する愛情尺度を作成しています。ルビンは、愛は対象人物に対する親和と依存の欲求、対象人物の幸福を援助しようとする傾向、排他性と熱中性という三つの要素から構成されているとしており、この考え方に基づいて愛情尺度を開発しています。
 
②言い訳
 
 「言い訳」と聞くと、ネガティブな意味合いが強いと感じるかもしれません。言い訳とは、釈明のことであり、望ましくない不適切な行動、期待はずれの行動が生じた場合、その行為と期待の間のギャップを埋め合わせるために、行為者自身が行う言明と定義されています。また、ハーヴェイらは、より広く「物語のような構成で、筋書き、登場人物、時間的な系列、帰属、感情表現などを含むもの」と定義しています。ハーヴェイらの定義する「言い訳」は、ストレスを感じるような出来事へのコーピング過程(対処過程)において重要な意味があるとしています。言い訳をすることで、自身を正当化することができるので、それによってストレスを低減することができる可能性が高まると考えられます。
 
 
③うそ
 
 うそとは一般的に他者を意図的に騙すための陳述のことを指し、言い間違いや勘違いなどの意図しない陳述とは明確に区別されるものと定義されます。

 ウィルソンらは、うそを5つのタイプに分けるという考え方を提唱しています。

1つ目は自己保護のためのうそであり、罰や非難,不承認を避けたり、ばつの悪さを避けるものです。

2つ目は自己拡大のうそで、現実よりも自分をよく見せようとするために用いられ、注目や承認などを得るために自分の能力や持ち物、成し遂げた事柄を自慢したり、ほらを吹くなどを指します。

3つ目は忠誠のうそで、ある人を護るためにその人の違反行為について間違った供述をすることなどを指します。

4つ目は利己的なうそであり、物質的な利益を得ようとしてつくうそのことを指します。

5つ目は反社会的・有害なうそであり、故意にと人を非難したり、けなしたりしてその人を傷つけるものなどを指します。うそは、社会的適応の面で現在ならびに将来にわたる問題行動の重要な指標として考えられています。たとえば、世界的な精神疾患の診断基準・マニュアルであるDSMでは、反社会的行動や問題行動、攻撃行動の記述の中に「うそ」を含めています。また、心理学的な研究の結果、うそは非行や問題行動の主要な因子であるということを繰り返し示されています。