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様々なメンタルへルス・セルフケア(5)

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  • 2022/07/21

メンタルへルスを維持・向上させるための方法には、自分一人でも実行できるセルフケア・アプローチがいくつかあります。
手軽に実行できるものでも、科学的なエビデンスに基づいたものには効果があることが判明しています。
本コラムでは、そのうち、いくつかを紹介していきたいと思います。
 
 
12. 自律訓練法 
 
自律訓練法とは暗示とリラクゼーション技法を組み合わせ、副交感神経が優位な状態を意図的に作り出すものです。
基本的には専門家の指導の下で実施するものですが、手軽に手に入る専門書などを読みながら、自己暗示を駆使して、自分でトレーニングをすることもできます。
 
私たちは交感神経と副交感神経が常にバランスを取って活性・抑制を繰り返しています。
基本的には交感神経が活性化していれば、副交感神経は抑制されます。
逆に副交感神経が活性化すれば、交感神経は抑制されます。
そのため、どちらか一方が活性化すれば、残りの一方が抑制されることになります。
このメカニズムを利用して、身体をリラックス状態に導くのが自律訓練法なのです。
自律訓練法の“自律”とは、自律神経のことであり、自律神経を“訓練によってコントロールする”というものになります。
自律訓練法はリラクゼーション技法として非常に有名であり、科学的根拠に基づいた研究結果も豊富にあります。自律訓練法は主に以下のような手順で実施されます。
 
 
(1)背景公式:「気持ちが落ち着いている」 
(2)第一公式:「両腕・両脚が重たい」 
(3)第二公式:「両腕・両脚が温かい」 
(4)第三公式:「心臓が静かに規則正しく打っている」 
(5)第四公式:「とても楽に呼吸をしている」 
(6)第五公式:「お腹が温かい」 
(7)第六公式:「額がこころよく涼しい」 
 
 このような手順で「 」の中の言葉を声に出さずに暗唱したり、専門家が指示をしながら進めていきます。
これらをまとめると「気持ちが落ち着いていて、腕と脚が重く感じ、そして温かい。心臓が静かに動いていて、楽に呼吸ができる。お腹のあたりも温かいが、首から上の頭の部分は涼しくて心地いい」ということになり、簡単に言うと「露天風呂でお湯につかって、ゆったりと、くつろいでいる感じに近い」に近い状態です。

前述の通り、入浴中は副交感神経が活性化するわけですが、その状態を疑似的に作り出すのが自律訓練法なのです。
ただし、自律訓練法には注意事項等も多いため、専門家の指導の下で行うことが基本となっています。
 

自律訓練法は1930年代に体系化され、日本では1960年代から心療内科や精神科などで精神疾患の治療法として用いられ、現在では治療以外にもリラクゼーションの技法として普及しています。
基本的には自律訓練法の専門家の指導の下、何回も練習を繰り返してやり方を学び、最終的には自分自身でリラックスした状態を作り出し、ストレスの軽減や心理的な問題の解決を目指すわけです。
 
自律訓練法はその名の通り、自律神経に影響を及ぼすものなので、以下のような前提条件があります。 
 
専門家の指導の下で実施する。 
静かな場所で実施する。 
身体を圧迫する腕時計・ネクタイなどは外すか緩める。 
靴は脱ぐかスリッパなどに履き替える。 
仰向けに寝る状態か椅子に座った状態で実施する。 
 
また、交感神経と副交感神経をコントロールする自律訓練法は、普段この2つの神経の拮抗作用によって活動している身体の器官にも影響を与えます。
従って、以下の症状・状態の方は絶対に自律訓練法を実施してはならないとされています。
 
 
・心筋梗塞などの心臓疾患に罹患している場合 
・糖尿病の方、低血糖を起こしやすい状態の場合 
・妄想などの精神症状を持つ場合 

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