コラム

こんな時だからこその心理学・メンタルへルス Part2

2020.5.5

現在、世界的に新型コロナウィルスによる感染症対策のため、緊急事態宣言と外出を含む様々な活動の自粛要請が発令されています。
このような状況下において、まずはウィルス感染の防止や医療崩壊の防止が最重要課題ですが、同様にメンタルへルス対策も非常に重要な要素となっています。

今回は、このような状況下において重要となる心理学・メンタルへルスについて解説していきたいと思います。

本コラムを執筆している4月28日時点では、東京都をはじめとする多くの地域で緊急事態宣言と様々な自粛要請が発令されています。
おそらく、多くの方々にとって、このような事態は初めての経験であり、ストレスを抱えている人も多いのではないかと思われます。

このような状況下でこそ、科学的根拠に基づいた心理学・メンタルへルスの知見が役立つと考えられます。
私たちは、このような緊急事態の際に限らず、日常生活においても情報を正しく活用できずに、感情に振り回されて、ストレスを抱えるということが多くあります。

そして、このような緊急事態では、より一層、情報の認知と感情のコントロールにネガティブな影響が出やすく、行動面にも問題が発生しやすくなります。

確率に関する情報には注意が必要

経済心理学(行動経済学)の理論として、確率過重関数モデルが提唱されています。この理論では、リスクのある状況下で自分にとっての価値を評価する際に、確率を額面通りではなく、心理的な確率価値に変換してしまうというものです。

小さい確率では重み付けが大きく、中程度や大きい確率では重み付けが小さいという特徴があります。

実は私たちは他者からの情報やニュースなどで見聞きする確率に対して、なかなか正確に受け止めることができません。
正確に受け止めるのが可能なのは、0%(全くない)と100%(絶対にある)の両極端くらいなのです。

確率過重関数についての理論は複数ありますが、最もポピュラーなものでは、35%が1つのボーダーラインとなっています。
35%という確率は0%や100%と同様に、他者やニュースから情報として入ってくると、正確に受け取ることが可能です。

しかし、35%未満の確率情報は実際よりも低く、35%を超える確率情報は実際よりも高く受け取られてしまいます。

新型コロナウィルスについては、発症率や死亡率などの形で様々な「確率」に関する情報が広まっています。
それぞれの確率情報は科学的根拠に基づいたものも多いと思われます。
しかし、情報を受け取る側の私たちが、それらを額面通りに理解できなければ、誤った認知から、不必要にネガティブな感情を引き起こし、誤った行動をしてしまう可能性があります。

確率過重関数について、頭の片隅にでも置いておくことで「実際とズレた理解・解釈をしていないか?」と冷静に立ち止まることができます。
このような状況であるからこそ、冷静に立ち止まることは、メンタルヘルスにとっても非常に重要です。

次回は「病気に関する確率」について掲載いたします。
お楽しみに!

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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