コラム

日本の有名な心理学者たち Part5

2020.3.31

心理学者やメンタルへルスの専門家には、日本人にも多くの有名な先生方がいらっしゃいます。そんな日本を代表する先生方の一部を御紹介させていただきたいと思います。

田中 良久 先生

田中良久先生は、1941年に東京帝国大学(現在の東京大学)の文学部を卒業し、1953年に東京大学の助教授に就任されています。

その後、1967年~1977年にかけて東京大学の教授を務められ、国際心理科学連合の副会長なども歴任されており、心理学研究者間の国際交流の推進にも尽力されています。

専門領域は、心理学的測定法および尺度構成に関するものであり、それらの理論・方法の普及に指導的役割を果たされています。

また、研究例としては、分類における誤差の問題や順位決定における対象間の比較の問題等があります。

また、心理学研究へのコンピュータ導入や文科系のプログラミング教育の先駆けも、田中先生によるものです。

現在、日本国内の大学において、コンピュータ実習の授業は必修科目として実施されています。

また、心理学科・心理学専攻においても、ワードでレポートを書き、エクセルでデータの管理・分析を実施し、パワーポイントで発表をするというのが当たり前になっています。

さらに、実験を実施する際にも、PCでプログラムを組み、自動的に課題が進めるケースが非常に多いです。

このように、大学の心理学教育において、コンピュータはなくてはならないものとなっていますが、そのきっかけとなる部分には、田中先生の功績が大きいと言えるでしょう。

増田 惟茂 先生

増田惟茂先生は愛媛県松山市出身で、東京帝国大学(現在の東京大学)にて、日本の心理学の草創期を支えた元良勇次郎先生や松本亦太郎先生の下で指導を受けています。

1908年に東京帝国大学を卒業後、心理学の研究に従事します。

実は、増田先生は学習心理学の基礎を気づいたワトソンが動物実験をスタートするよりも前に、動物の行動の研究に携わったということで有名です。

その後、アメリカに留学し、帰国後の1922年に東京帝国大学の講師を経て、同年に助教授に就任されています。

また、日本心理学会の発会に当たっては、城戸幡太郎先生とともに中心的な存在として活躍されています。

1933年には「心理学研究法 – 殊に数量的研究について -」という研究で文学博士を授与されています。

しかし、同年にまだ50代という若さで亡くなられています。

松本 亦太郎 先生

松本亦太郎先生は、現在の群馬県高崎市に生まれています。

東京帝国大学(現在の東京大学)で、元良勇次郎先生の下で心理学を学んでいます。

その後、アメリカのイェール大学に留学し、心理学者のスクリプチャーに師事しています。

そして、1899年 に「Researches in Acoustic Space」という研究論文で博士号を取得し、同年に文学博士を授与されています。

また、松本先生は世界で最初の心理学実験室が開設されたライプチヒ大学をはじめとする欧米各国の大学の心理学実験室を視察しています。

これらの視察の経験・体験で得た知見に基づいて、帰国後の1903年に日本で最初の心理学実験室を東京帝国大学に創設しています。

そして、1906年には、京都帝国大学(現在の京都大学)の文学部の初代心理学教授に就任するとともに、同大学にも心理学実験室を設立しています。

1912年に師である元良先生の死去の後を継いで、東京帝国大学・文学部で教授を務めています。

このように、松本先生は日本の学界における心理学の地位を確立させるとともに、教育制度を整備し、多くの優秀な弟子を育てています。

元良 勇次郎 先生

元良勇次郎先生は現在の兵庫県三田市生まれです。

若い段階でアメリカに留学し、ジョンズ・ホプキンズ大学でアメリカ心理学会・初代会長を務めたホールに師事します。

1888に「Exchange : Considered as the principle of social life」という研究論文で博士号を取得しています。

同年、東京帝国大学(現在の東京大学)で初となる精神物理学の講義を担当され、人間の精神に関する科学的な教育のスタートに大きく関わっています。

また、元良先生は、1890年に日本の帝国大学において初となる心理学教授にも就任されたという功績もあります。

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