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お金や経済と心理学の関係 

2024.5.13
  • メンタル
  • 心理学

<2023年12月7日 こころ検定-心理学で役立ちコラム-の再掲>

お金や経済と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。 日本の古典的な書物である続日本記などにおいて、日本で最初の流通貨幣として和同開珎が発行されたのが708年8月29日(和銅元年の8月29日)であるとされています。 

これは株式会社ABCash Technologiesが制定したもので、2020年に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。 では、お金や経済と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。 

【目次】

経済心理学について

経済心理学(行動経済学)の有名な実験

経済心理学(行動経済学)の知見

まとめ

経済心理学について

心理学の分野の1つに、経済心理学という分野があります。 経済心理学は別名、行動経済学ともよばれ、経済学とも関係の深い分野です。 また、人間の選択行動や意思決定、それを応用した消費者行動などとも関連しています。 

また、心理学の分野の中でも、学習心理学(行動分析学)や認知心理学、社会心理学、パーソナリティ心理学などの領域とも関係があります。 これは、選択行動や物事や確率に対する認識(認知)、他者との協力や競争、就職先、進学先などの意思決定、選ぶことや決めることに対するパーソナリティ(性格)の影響など、様々な心理的過程が経済心理学(行動経済学)とつながりを持っているからです。  

経済心理学(行動経済学)の有名な実験

済心理学(行動経済学)の有名な実験の1つに、以下のようなものがあります。

『コインを投げ、コインが地面に落ちた時に表が出るまでコイン投げを続ける。 1回目で表が出たら200円、2回目で表が出たら400円、3回目に表が出たら800円というように表が出るまでの回数が1回増える毎に獲得金額が2倍になる。 このゲームに参加するためには、参加料を支払う必要があるが、あなたはいくらまでなら参加料を支払いますか?』このような質問をした上で、実験参加者にいくらの参加料を支払うのかを回答してもらいます。

では、一度、皆さんも自分だったら、いくらまでなら参加料を支払うかを考えてみていただければと思います。いったい、いくらになったでしょうか。 

では、この実験を数学的に考えてみましょう。

  • 1回目で表が出る確率 ⇒表か裏のどちらか = 50%
  • 2回目で表が出る確率 ⇒ ① 裏、② 表⇒50%×50% =25%
  • 3回目で表が出る確率   ⇒ ① 裏、② 裏、③ 表 ⇒ 50%×50%×50%=12.5%

※4回目以降も同じように確率は小さくなっていくが、絶対に0%になることはない。 

上記の確率と対応した金額を掛け合わせると、以下のようになります。   

  (50%×200円)+(25%×400円)+(12.5%×800円)・・・=∞   

※確率はどんどん低くなっていくが、それに対応して金額はどんどん上がっていく。 

このように数学的に考えると、得られる可能性のある報酬は「無限」になります。 従って、数学的・経済学的には獲得金額が計算上無限になるなら、理論上はどんなに高い参加料を支払ってでも参加しようとするはずだということになります。

では、皆さんが考えた参加料はいくらだったでしょうか。 おそらく、10,000円や100万円などの高額な参加料を想定した人は、ほとんどいないのではないでしょうか。 これは、セント・ペテルブルクのパラドックスとよばれるもので、人間が数学的・経済学的の理論とは異なる判断をするということを示しています。

経済心理学(行動経済学)の知見

純粋な数学や経済学では、確率と金額を掛け算することで期待値という指標を導くことができます。 基本的には、この期待値の高さが高ければ、人間は意思決定や選択行動において利益やメリットが得られるはずなので、より高い方を選ぶはずです。

また、前述のように理論的に無限の利益(莫大な期待値)の可能性があるならば、いくらでも参加料を支払うという決定をするはずです。 しかし、人間は確率と金額の掛け算の中に「認知」や「感情」というものを入れて判断します。

そのため、経済学や経営学、マーケティングなどの理論通りには人間は購買行動や消費行動をしないわけです。 そこで、経済心理学(行動経済学)の知見が重要になってくるわけです。 

和同開珎は日本初の貨幣だったわけですが、貨幣と心理学にも関連があります。 心理学の分野にニュールック心理学というものがあります。

これは1940年代後半に心理学において知覚が要求・欲求・期待・態度・経験・パーソナリティ・社会性に影響を及ぼすのではないかという仮説からスタートしています。 ニュールック心理学の専門家として有名なジェローム・ブルーナーは知覚と欲求や動機づけとの関連を研究しました。

その結果、裕福な子どもと貧しい子どもでは貨幣の大きさの知覚が異なっていることなどを実験の結果して明らかにしています。

まとめ

このように、お金や経済と人間の関係性について、心理学では様々な観点から研究が実施されているのです。 


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部 「おもしろコラム」は、心理学の能力を測る検定試験である「こころ検定」が運営するメディアです。心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、検定に興味がある、学んでみたい人のために、心理学を考えるうえで役立つ情報をお届けしています。