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左脳と右脳の話 <26/7リライト>

2026.7.15
  • こころ検定2級
  • 心理学

【目次】

左脳と右脳、何が違う?

言葉の左脳、感覚の右脳

分離脳実験が示す脳の真実

得意はあっても不能はない

AIと脳波が示す左右の脳(2026/7/15新規追加)

 

左脳と右脳、何が違う?

脳の右側と左側では、得意とする事柄が異なるといわれています。では、心理学的な観点から見ると、左脳と右脳にはどのような違いがあるのでしょうか。

脳は左脳と右脳というように、右と左に分けて考えられることがあります。心理学の分野でも、生理心理学において脳や神経の研究が行われており、左脳と右脳の違いについても検証されています。研究の結果、脳にはそれぞれ「得意分野」があることが判明しています。

言葉の左脳、感覚の右脳

たとえば、言葉に関する能力(言語能力)は左脳の方が得意であることが分かっています。逆に右脳は、自分の位置から見たものまでの距離を正確に把握する能力(空間把握能力)や、歌を歌ったり楽器を演奏したりする能力(音楽的能力)、感情をつかさどる能力に優れているとされています。

現在はMRIなどの精密機械を用いることで、脳の構造や機能が明らかになってきていますが、当初の研究は、病気やケガによって脳の一部に損傷を負った人の治療・支援を行う中で、さまざまなことが判明していったという経緯があります。

 

 

分離脳実験が示す脳の真実

たとえば、左脳と右脳をつなぐ「脳梁」という部分に損傷を負った人に関する「分離脳の実験」があります。

人間は、右目で見たものは左脳に、左目で見たものは右脳に、それぞれ情報として送られて処理されます。そのうえで、脳梁が左脳で受け取った情報と右脳で受け取った情報を組み合わせることで、はじめて目で見たものを正確に理解できるのです。同様に、左手の感触は右脳に、右手の感触は左脳に送られて処理されます。

しかし、脳梁に損傷を負い、左脳と右脳が直接つながっていない状態になると、両者の間で情報交換ができなくなります。そのため、非常に不思議な現象が起きることが判明しており、それを検証したのが分離脳の実験です。

分離脳の実験は、以下のような手順で実施されます。

  1. デスクの上にさまざまな工具を置き、その前に大きなスクリーンを設置する。スクリーンは左右2つに分かれており、左半分は左目、右半分は右目でしか見ることができない。
  2. 脳梁を損傷している人にスクリーンの前に座ってもらう。スクリーンの向こう側は見えないが、手を伸ばせばデスクの上の工具に触れることができる。
  3. スクリーンの左半分に「ナットを取ってください」と表示される。この文章は左目でしか見ることができず、左目で見た文章は右脳に送られる。
  4. 右脳は空間把握能力・音楽的能力・感情の処理は得意だが、言語能力は得意ではない。そのため、指示通りに手を動かしてナットをつかむことはできるが、「今、つかんでいるものは何ですか?」と質問されても「分かりません」としか答えられない。
  5. 左目で見た指示に基づいて左手を動かすことはできても、その情報は右脳に送られるだけで、脳梁が損傷していると言語能力が得意な左脳には伝わらない。そのため、正確に指示通り行動できても、それを言葉で説明できない。
  6. 逆に、スクリーンの右半分に「ナットを取ってください」と表示される。この文章は右目でしか見ることができず、右目で見た文章は左脳に送られる。
  7. 左脳は言語能力が得意なため、デスクの上のナットをつかみ、「今、つかんでいるものは何ですか?」と質問されれば「ナットです」と正しく答えられる。
  8. 右目で見た指示に基づいて手を動かすと、その情報は左脳に送られる。脳梁が損傷していても、目で見た文章と手でつかんだ物に関する情報がどちらも言語能力の得意な左脳に届いているため、自分のしていることを言葉で説明できる。

健康な状態であれば自然にできることも、脳の一部が正常に機能していないだけで、このような不思議な現象が起こるのです。

得意はあっても不能はない

分離脳の実験からも分かるように、脳は左右で得意とする能力が異なります。しかし、これはあくまで「得意」「優位」という違いであって、「何らかの能力が全く無い」ということではありません。重要なのは、脳梁が左右をつなぎ、情報を共有することで、正確な知覚・認知が瞬時に可能となっているという点です。

AIと脳波が示す左右の脳(2026/7/15新規追加)

右脳と左脳については最新の研究でも様々なことが判明しています。左脳は言語的な能力を司っていることが従来の研究から知られていますが、最新の研究において、AIを活用して左脳と言語能力について検討したものがあります。研究の結果、AIがトレーニングを経て正しい文法や構文を身につけるプロセスが明らかとなり、AIが文法をマスターした瞬間にAIの内部データが人間の左脳の活動パターンと急激に一致し始めることが判明しました。

なお、数学における計算や単なる知識の学習では、このような現象は確認できず、文法や構文などの言語能力においてのみ、確認されています。この研究結果は人間の左脳が単に言語を司っているだけでなく、言語という複雑なパターンを処理する仕組みは、脳の構造上、左側のネットワークにフィットしやすい性質をもっていることが示唆されています。

 左脳が言語能力を司っているように、右脳は注意や意識を司っていることが判明しています。最新の研究では、視覚的な刺激をパッと目で捉えた瞬間に「見えた」と人間が意識する約50160ミリ秒前に右脳の頭頂葉や側頭葉にある注意ネットワークでβ波やγ波などの特定の脳波の激しい変動が起きていることが分かっています。この右脳の注意ネットワークは、これから入ってくる刺激に対して注意のピントを事前に合わせており、人間が物事を意識化できているのは、この機能の影響が非常に強いことが示唆されています。非常に興味深いのは、モノが見えたと意識するよりも先に対象(ターゲット)に対して正確に注意が向けられているという点です。

つまり、見る前から注意の準備が整っており、知覚から認知へとスムーズに移行できるメカニズムが人間の脳には備わっているということになります。

 

・初回投稿:2020年7月30日 

・リライト及び新規追加:2026年7月15日 

 


 

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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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