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心理専門職の仕事(3)カウンセリング

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  • 2019/09/05

心理専門職には、いくつか代表的な仕事があり、そのうちの1つがカウンセリングです。
 
心理学に関する知識や技術を活かして社会で活動する人のことを、心理専門職とよびます。

基本的には大学の心理学科を卒業し、大学院に入学して修士課程・博士課程を修了した方々が心理専門職として活躍していることが多いです(※学部卒業で活躍している方もいます)。

大学の学部では基本的な知識である基礎心理学や心理統計学に加えて、心理学研究法、心理学実験法、心理検査学などについて学び、3年・4年時にゼミに入ります。

ゼミでは、指導教官となる教授から研究指導を受けながら、卒業論文を書くための実験や調査を実施します。

その後、大学院に入学した場合は、より専門的な内容を学び、さらに高度な内容の修士論文を書くために実験や調査を行います。このような過程を経て、心理学の専門家としての育成が進んでいきます。

心理専門職の重要な仕事の1つにカウンセリングがあります。

カウンセリングは臨床心理学や精神医学の知識・技術を活かして、他者支援を進めていくものです。

いわゆる“心理カウンセラー”の仕事の代表的なものが、カウンセリングになるわけです。

カウンセリングにおいて重要となる考え方に科学者-実践者モデルがあります。

これは、1949年にアメリカ・コロラド州ボルダーで実施された会議において心理カウンセラーとは「心理学者としての科学的知識」と「カウンセラーとしての実践技能」を併せ持つ専門家であると規定されたことからスタートしたものです。

科学者- 実践者モデルは、欧米および日本における心理カウンセラーの基本モデルとなっており、心理カウンセラーとは、カウンセリングを実施する際に常に科学的・論理的に思考し、クライエントの言語・非言語による応答・態度などを客観的に観察し、的確な対処方法の検討・実施ができる者である、というように定義されています。

単に「人の話を聴いて、アドバイスをする」という業務がカウンセリングであれば、実験・調査などをまとめた卒業論文・修士論文の提出や研究法・心理統計学の勉強は必要ないように思えるかもしれません。

ですが、厚生労働省は公認心理師の基本業務を対象者の「心理状態を観察し、その結果を分析すること」と定義しています。

公認心理師・臨床心理士は科学者-実践者モデルに基づいた活動が必要であり、科学的・論理的なアプローチ(エビデンスベイスト・アプローチ)が求められています。

そして、メンタルケア心理士やメンタルケア心理専門士も同様に、エビデンスベイスト・アプローチによるカウンセリングを実施することが必要なのです。

心理カウンセリングの“はじまり”はどのようなものだったのかを振り返ってみるのも重要です。

臨床心理学の誕生は1896年に心理学者のライトナー・ウィットマーがアメリカのペンシルベニア大学に心理クリニックを開設した時とされています。

また「臨床心理学」という用語もウィットマーによって初めて用いられたといわれています。

ウィットマーは科学的な心理学の誕生に大きく貢献した心理学者であるヴントの弟子であり、しっかりと基礎的な心理学や心理学実験、さらには哲学に関する素養などを習得した上で「心理学の臨床応用」を展開しました。

科学的な心理学を師匠であるヴントが確立してから、約20年間経過した後に「科学的心理学を医療・健康分野に応用する」ということをウィットマーが実践したわけです。

つまり、カウンセリングという行為は、世界で最初に行われた時から今に至るまで、趣味・教養のレベルで少し心理学を学んだだけで、すぐに飛躍して実施できるような簡単なものではないという位置づけなのです。

このヴントに連なるウィットマーの姿勢は、現在、日本をはじめとする世界中の臨床心理学研究や心理カウンセラーの実践活動に脈々と受け継がれています。

カウンセリングについて必要な知識はこころ検定2級(メンタルケア心理士)こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)のカリキュラムで全般にわたって概観しています。ご興味・ご関心があるという方は、是非、勉強してみていただければと思います。