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心理テストって、どういうテスト?

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  • 2018/12/07

心理テストという言葉を耳にすることは多いかと思いますが、実際はどのようなものでしょうか。
 
 心理テストという言葉は実は専門的な用語ではありません。

病院やカウンセリング・ルームで実施されるのは「心理検査」とよばれています。

そのため、インターネットや本などに掲載されているものは「心理テスト」であり、専門機関で実施される正式なものを「心理検査」であると考えるよいでしょう。

「心理検査」と「心理テスト」の一番の違いが何かというと正式な「心理検査」の方は気軽に実施するものではないということです。

一般的に実施されることの多い心理検査は、医療機関で実施した場合は医療保険の対象となるものが多く存在します。

そして、精神疾患の診断や重症度・原因、ストレスや身体的な問題などを明らかにするために実施されることが多いものです。

ただし、検査内容のむやみな公開を防ぐため、専門家以外には販売が禁止されています。そのため、そもそも一般の方は購入することはおろか、見ることもできませんし、本やインターネットに転載することも原則禁止されています。また、心理検査には以下のような販売規則があります。
 
販売基準レベルA: 保健医療・福祉・教育等の専門機関で心理検査の実施に携わる業務に従事する方
 
販売基準レベルB: レベルAの基準を満たし、かつ大学院修士課程で心理検査に関する実践実習を履  修した方、または心理検査の実施方法や倫理的利用について同等の教育・ 研究を受けている方。
 
販売基準レベルC: レベルBの基準を満たし、かつ心理学、教育学または関連する分野の博士号、心   理検査に係る資格(臨床心理士、特別支援教育士、学校心理士、臨床発達心理士)、医療関連国家資格(医師、言語聴覚士等)のいずれかを有する方、あるいは地方公務員心理職、国家公務員心理職(家庭裁判所調査官等)の職で心理検査の実施に携わる方。
 
 これらの基準に満たない方は、原則として購入も実施もできないわけです。

では、なぜこのような厳しい基準を設けているのでしょうか。

たとえば、アンケート形式の心理検査の場合、同じ内容を2度も3度も「目にした」「回答した」のであれば、回答者は「前に見たことあるヤツだ」とか「前回はどう答えたっけ?」などを想定した上で回答する可能性があります。

その場合、初めて目にする・初めて回答するという場合とは結果が異なってしまうわけです。

また、知能検査や発達検査などの基本的に子どもを対象として実施する検査の場合、同じ検査を複数回実施すれば、その度に子どもは検査内容を学習し、検査結果が変化してしまいます。

つまり、心理検査とは、何度も手軽に実施できるものではなく、気軽に見ていいものでもないということなのです。

心理検査は病気の診断や重症度の判定、知能や発達状態、ストレスの測定や性格傾向の把握などに利用されています。

これらは非常に重要なことなので、結果に間違いがあったり、結果が歪んでしまうようなことは避けなければなりません。

心理検査は真面目で正式なもの、インターネットや本に掲載されている「心理テスト」はあくまで“遊び”レベルのものであると考えた方がいいでしょう。

 では、正式な心理検査とは、どのように作られるのでしょうか。アンケート形式の心理検査の場合は、基本的に以下のような手順で作られます。
 
①知りたい対象(性格や感情等)に関する質問項目をできるだけ多く作成する。
②作成した質問項目をまとめてアンケート用紙を作成する。
③できるだけ多く(例:1000人以上)を対象にアンケート用紙を配布。
④回答済みの用紙を回収し、データ化する。
⑤データに対して統計分析を実施し、内容を検証する。
 
⑤の「内容を検証する」では、細かくは以下のような事柄について確認します。
 
1. 本当に測定したい内容を測定できているか?
2. 余分な質問項目はないか?
3. 対象者が理解できない表現はないか?
4. 項目はどのようなまとまりになっているか?
 
 上記の1.~4.が完了したら、続いて以下のような手順で進めていきます。
 
⑥統計分析の結果を基に、より精密な内容のアンケートを作成。
⑦前回とは異なるできるだけ多くの人(例:1000人以上)の人に対してアンケートを実施。
⑧回答を回収し、分析を実施する。
⇒以降、完成度の高い内容になるまで⑤から繰り返し実施する。
 
 このように、正式な心理検査は科学的な根拠に基づいて作成されており、また完成するまでに多大な労力と時間、お金がかかっているのです。

だからこそ、気軽に実施したり、ましてやインターネット上に公開するなどは原則禁止であり、大切に扱わなければならないのです。