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日常用語も心理学では〇〇になる part2

2020.1.29
  • 心理学

― 日常と科学の間にあるもの ―

心理学の辞書に掲載されている用語の中には、私たちが日常生活で当たり前のように使っている言葉を少し違った観点から捉えているものがあります。そんな「よく耳にする言葉の心理学的側面」について解説したいと思います。

①あがり

あがりとは、一般的に演壇で公演や発表する時やスポーツ等で試合に臨む時などに体験される心身の緊張状態のことを指します。
特に成功・失敗が本人にとって重要な事柄ほど、不安や緊張感が高まり、目的の行為の達成が困難になることが多いとされています。
「人前で」というより「対人」的な要素が強くなった場合には、対人恐怖としての意味合いが強くなるとされています。
あがりに対する有効な対処方法としては、自律訓練法や行動療法における系統的脱感作法、催眠などが挙げれます。

②エリート

社会において卓越した能力や有利な社会的地位により指導的役割を果たす少数者の機能集団のことを指して、エリート(エリート集団)とよびます。
エリートという言葉は、元々はフランス語であり、17世紀に「より抜きの商品」を意味するものとして、選良・精鋭と訳されることもあります。
エリートという言葉は「大衆」の反対語として位置づけられており、一般にその社会における卓越性の基準によって一定の方法で選抜されるものであるとされています。
自己の能力に対する高い自尊感情や社会への使命感、自己超克の精神、そして特別の特権や報酬への期待などが、エリートの意識を形成しているとされています。

③おいしさ

人間は動物と異なり、食事を単に栄養補給のために実施しているわけではなく、食べること自体に楽しみも同時に求めているものです。
おいしく、楽しく食べるためには、味覚・嗅覚・温度感覚・触覚・視覚・聴覚などの総合的な感覚のバランスがとても大切になります。
食事に際して関係するこれら全ての感覚情報は、脳の扁桃体という部分に集められ、過去の経験などとも照合されて、快不快の判断が下されます。
その情報はさらに脳の視床下部の腹内側核(満腹中枢)や、外側野(摂食中枢)に送られて、食欲の調節に関与しています。
おいしく味わうためには、心身ともに健康で、歯や口の構造に異常がなく、あごや舌がスムーズに正しく動くこと、感覚機能にも異常がないこと、適度な空腹感など人間側(食べる側)にも条件があります。

④カリスマ

カリスマとは、ある人々によって、非日常的、超人間的な優れた資質をもつ者と見なされて崇拝される人物のことを指します。
その人物が集団のリーダーである場合は、最高の絶対的権力者であり、メンバーをいかなる状況においても全面的に服従させる権威者であることが多いとされています。
また、精神分析で有名なフロイトの理論によれば、人々がカリスマを求める心理の根源には、自己喪失の欲求を抑圧させることで生じる不満を、カリスマを中心に参画した情熱的な群集の中で充足させようとするところにあるとしています。

⑤カルチャー・ショック

カルチャー・ショックとは、文化人類学者のオバーグによって提起された概念です。
オバーグはカルチャー・ショックを、異なる文化的環境において、既に自らの文化として学習された強化随伴性や記号・象徴,スキーマやスクリプトなどの再学習が迫られる時に経験するストレスの総称としています。
また、文化変容ストレスとして捉える立場もあります。

従って、そもそも文化とは心理学的な学習や認知によって成り立っているものであり、それが異なる文化に対する学習や認知に曝されることで起きるのが、カルチャー・ショックなのです。
このようなショックは,文化的適応を阻害するものと考えられる場合が多いのですが、自己の成長にとって肯定的なものであるという見方もあります。
また、カルチャー・ショックに予め対応するための方法として、教育が挙げられます。

教育的方策として、自らの文化的特性への気づきを予め深める文化的覚知法、異文化における行動の原因の帰属の仕方を認知的に学習する文化的同化法、異文化での社会的スキルを学ぶ方法などが挙げられます。

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この記事を執筆・編集したのはこころ検定おもしろコラム編集部
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