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様々なメンタルへルス・セルフケア Part2

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  • 2022/06/23

メンタルへルスを維持・向上させるための方法には、自分一人でも実行できるセルフケア・アプローチがいくつかあります。 
 
メンタルへルスを維持・向上させるための方法には、自分一人でも実行できるセルフケア・アプローチがいくつかあります。
手軽に実行できるものでも、科学的なエビデンスに基づいたものには効果があることが判明しています。
本コラムでは、前回に引き続き、そのうち、いくつかを紹介していきたいと思います。
 
 
5. 笑顔 
 
笑いや笑顔はポジティブな感情と関連する表情・行動です。
そして、笑いや笑顔は私たちにとって、重要なコミュニケーション手段の
1つでもあります。
そのため、心理学では、生理心理学や感情心理学、社会心理学などの観点から笑いや笑顔についての研究が実施されています。

生理心理学の観点からの研究として、顔面フィードバック仮説という説が唱えられています。
これはトムキンスによって提唱された身体反応と感情に関する理論であり、顔の表情に関連する筋肉の反応を受けて、その後に感情が生起するという仮説です。

つまり、体が先で心が後ということであり「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのである」ということです。
笑顔の場合、まず目や口の筋肉が動くことで「笑っている」状態になります。
その結果、楽しいという感情が発生するということです。

顔面フィードバック仮説の根拠となる実験として、漫画雑誌を読んだ後に、その漫画の面白さを評価してもらうというものがあります。
実験参加者は普通の状態で漫画を読んでもらうのと、口にペンをくわえた状態で漫画を読んでもらうという
2つ条件で実験に参加してもらいました。
口にペンをくわえるという条件は、強制的に目と口の筋肉が動き、笑顔の状態になります。
実験の結果、口にペンをくわえた状態で漫画を読んだ方が、漫画の内容をより面白いと評価するということが判明しました。
この実験結果は、顔の表情が疑似的にでも笑っている状態になることで、顔の筋肉の反応がフィードバックされて面白い・楽しいという感情が生起した可能性を示唆しています。

これを応用すれば、自分で笑顔を作り出すことで、自動的にポジティブな気分を作り出し、リラックスすることができわけです。

また、社会心理学では、笑顔が他者とのコミュニケーションにおいて、どのような役割を持っているのかについて検討されています。
対人接客サービス業に従事する従業員が顧客に対して見せる笑顔に関する研究において、従業員の笑顔によって、顧客は従業員に対して親しみやすさを感じ、店舗(店内)の雰囲気をポジティブに評価し、再来店や知人への推薦などの行動が促進されるということが判明しています。
これは、笑顔によって従業員と顧客が共感的なコミュニケーションをとることができるようになり、適切なサービスの実施や好感をもたれることにつながるということです。
このように笑顔は他者との関係も良い方向に変化させることができ、私たちは他者の笑顔を見ることでもポジティブになることができわけです。
 
 
 
6. 感情を書き出す 
 
精神科医・心療内科医などが患者に日記をつけるよう指示することもあり、筆記療法というカウンセリング手法もあります。
実は「声に出す」ことよりも、「文章にする」ことの方が高次の認知処理を必要とするため、いわゆる「頭の中の整理整頓」が、より論理的に実施できるとされています。

また、その過程でストレス低減が発生することも判明しています。
筆記療法はストレスを感じた出来事について1日20 ~ 30分程度、3~4日間連続で文章化するというもので、出来事に対する認知的再構成と感情の浄化(カタルシス効果)の2つの側面があります。
筆記療法を実施することで、ストレスの低減、医療機関の利用頻度の減少などの心身両面に対するポジティブな効果が認められています。
パソコンが開発・普及する以前は、鉛筆等の筆記用具による文章化が筆記療法の手法でしたが、現在では、パソコンのキーボード入力やスマートフォンによるフリッカー入力による文章化も同様に実施されています。 


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