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対面カウンセリングとオンライン・カウンセリングPart3  対面と非対面の比較

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  • 2020/08/13

新型コロナウィルスの影響もあり、現在、オンラインでのカウンセリングが急速に増えつつあります。パソコンやスマホで手軽に悩みを相談できるのは非常に便利なことであり、メンタルへルスの維持・向上にも貢献すると考えられます。

今回は、対面と非対面の違いについて、対面での相談先の特徴、非対面のメリット・デメリットについて解説したいと思います。まずは、医療機関でも精神科と心療内科がありますが、この特徴と違いについて解説したいと思います。
 
精神科や心療内科(医療機関):
 
悩み相談に対応してくれる医療機関には、主に精神科と心療内科がありますが、精神科は対面による医療相談という観点で考えると、最も王道の相談先であるといえます。

以前のコラムでも解説しましたが、必要があればカウンセラーがカウンセリングを実施することもありますが、基本的には精神科医は診断と薬の処方がメイン業務となり、医師とカウンセラーが分業制で対応することも多いですが、事前にホームページを見たり、電話するなどして、充分に確認をしておく必要があります。

精神科での対面による相談の最大のメリットの1つは、診断書を出してもらえるということです。たとえば、メンタル面の問題から勤務している会社を休職することを考えている場合、医師の診断書が必要になります。

同時に、会社に復職する際にも医師の診断書が必要になります。病気の診断と薬の処方は法律的に医師免許を持つ人のみに許された行為です。そのため、医療機関に相談をしないかぎり、薬物療法を受けることはできないわけです。

悩み相談に対応する医療機関には、精神科とは別に心療内科というものがありますが、この2つの違いがよく分からないという方も多いかと思います。心療内科は“内科”という名の通り、身体のどこかに症状が出ているケースに対する治療・支援が専門です。

たとえば、胃潰瘍を患っている場合、まずは普通の内科を受診して胃腸薬が処方されることになると思います。しかし、胃腸薬を服用しても、あまり症状が改善しない場合、胃潰瘍の原因がよりクローズアップされます。

胃潰瘍は食べ過ぎ・飲み過ぎ、タバコの吸い過ぎなど様々な原因が考えられますが、もしそうであれば、暴飲暴食や喫煙本数を控えつつ、胃腸薬を服用すれば症状は改善されるはずです。しかし、いずれも心当たりがない場合、ストレスが原因である可能性が考えられます。

その場合、ストレスの原因であるストレッサーを改善・解決をしなければ、どれだけ胃腸薬を服用しても症状が治まりません。心療内科では、このような身体の症状の原因がストレスなどのメンタル面にある場合の相談対応がメインとなります。

また、心療内科医やカウンセラーがじっくりと話を聞いてくれる場合もありますが、基本は医療機関なので、診断と薬の処方が主軸となるので、事前の確認が必要です。心療内科のメリットは、精神面だけではなく、身体面に関する問題の改善にも積極的にアプローチするという点です。

精神科・心療内科に共通するデメリットとして、医学的な診断が下されなければ、治療自体がスタートしないという点です。何らかの精神疾患であるという診断が下ったという情報は、休職・復職などの手続きや医療福祉制度の適用などのメリットもあります。

しかし、精神疾患自体に対する誤解や偏見がまだ日本では根強いという問題があり、診断自体にネガティブな印象を持つ人も多いです。また、一部ではありますが、生命保険などへの加入できなくなるというデメリットもあります。

単に悩みを相談しようと思って精神科や心療内科を受診したら、精神疾患の診断をされてしまうのではないかという悪いイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、これは完全な誤解であり、そもそも精神科や心療内科は医療機関なので、あくまで病気の治療をする場所です。

つまり「悩み = 病気」という構図が当てはまる人が行くべき場所なのです。従って、恋愛相談や人生相談で精神科・心療内科を利用するのは不適切であるといえます。
 
カウンセリング・ルーム(非医療機関):
 
カウンセリング・ルームは、相談室や心理臨床オフィスなど様々な名称がありますが、全てに共通するのは医療機関ではないという点です。従って、病気の診断や薬の処方はできません。逆に、それ以外の「じっくりと話を聞く」ということに特化しているのが、カウンセリング・ルームなどであるということになります。

そして、会話によるコミュニケーションが前提とはなるものの、医療行為が含まれないカウンセリングであれば、オンライン上での相談対応も可能です。また、カウンセリング・ルームは、医療機関を受診するよりも敷居が低いイメージがあり、恋愛相談や人生相談などの“悩み相談”に適しているといえます。

カウンセリング・ルームのデメリットとしては、料金設定にルールがないということがあります。医療機関であれば、保険が適用されることもあり、全国どこの病院でも受診料に大きな差はありません。

しかし、カウンセリング・ルームでの相談料は、各事業所が独自に決定しているため、1回の相談料に大きな差があります。また、担当するカウンセラーがどの資格を取得したのかによって、知識も技術も非常に大きな差があるという問題があります。精神科医や心療内科医の場合、大学の医学部を卒業して医師免許を取得しているという点で、基本的に同じカリキュラムで勉強しているので、習得している知識・技術に大きな差はありません。

しかし、カウンセラーの場合、大学の学部と大学院の修士課程の合計6年間の勉強と資格試験合格が基本となる国家資格の公認心理師のような資格もあれば、安易な過程や評価で取得できてしまう資格もあります。

ただ、一般の人からすると、資格名を聞いてもピンと来ないので、どのカウンセラーも「カウンセリングの知識・技術に差はない」と誤解してしまうことが多いです。同様に、オンライン相談の知識・技術のレベルも千差万別であり、自分の悩みに的確に答えてくれる「専門家選び」に苦労するというデメリットがあります。
 
4. オンライン相談 – 非対面のメリット・デメリット -
 
オンライン相談には、様々なツールがありますが、多くの方々が気軽に利用できるのは、メールやLINEを活用したものです。メールやLINEは非対面で活用できるツールであり、対面式の相談と異なり、どこかに移動して専門家に会う必要はありません。

そして、専門家側とスケジュールが合い、予約が完了しているのであれば、早朝の5時や深夜12時でも相談をすることが可能です。つまり、オンラインでは対面式と比べて、場所と時間に縛られないという特徴があります。

さらに、対面と比較して、オンライン相談の方が多少料金の相場が安いという点もメリットの1つです。これは、対面と異なりカウンセリング・「ルーム」や相談「室」のような、場所・空間への設備投資がほとんどかからないことなどが関係しています。

また、全てのオンライン相談サービスではないものの、悩みの種類に応じて相談者が専門家を選ぶことができるマッチング・システムを採用しているところもあり、相談の自由度が高いというメリットもあります。

オンライン相談に関する科学的研究の結果、メールやLINEなどで相談者が自分の悩みや考えを文章化することは、頭の中を整理整頓する効果があることが判明しています。従って、オンライン相談は「相談のための文章を作る」というだけで、ある程度のセルフケア効果もあり、ストレス低減・メンタルケアの観点からも有効な手法であるといえます。

一見、便利に思えるオンライン相談にも、デメリットがあります。実は私たちのコミュニケーションの約6割が視線や表情、声のトーン、ボディーランゲージなどの非言語によるもので構成されています。

これらの非言語の情報は悩み相談において非常に重要な要素となりますが、メールやLINEでは一切それが分かりません。そして、この“分からない”という状態は、相談をされる側の専門家だけでなく、悩みを打ち明ける相談者側にも当てはまります。

相談する際に顔を見ながら話すことで安心感や説得力が生まれますが、メールやLINEではそれがありません。また、専門家側も対面の半分程度の情報量で相談者の状態を分析しなければならず、判断が難しくなります。そのため、誤解や食い違いが生じやすく、特に最初のセッションでは、専門家も相談者も“探り探り”になってしまい、長い時間をかけた割には話が前に進んでいないというケースが多いです。

また、専門家である医師やカウンセラーのほとんどが対面による相談支援の知識・技術はあるものの、オンライン相談、特にメールやLINEによる相談の知識・技術を有していないのが現状です。そのため、オンライン相談を利用したくても、しっかりとした知識・技術を持つ専門家を見つけること、そういったレベルの高い専門家が対応してくれるサービスを探すことが難しいというデメリットがあります。