コラム

ストレスとお金の関係 Part8-2

  • コラム
  • 2019/07/19

心理学の研究は一風変わった側面から物事を捉え、面白い結論を導き出しているものがあります。
 
心理学に関する研究は、私たち人間の“滑稽さ”や“上手く行かない歯がゆさ”についても、様々な角度から教えてくれます。
 
<ストレスとお金の関係> その2

<ストレスとお金の関係> その1の事例は、どちらかというと実際に発生した金融関係の事件において、後から確認すると、そこには“ストレスがリスクを呼び込んだ”というニュアンスが強いです。

では、より科学的にストレスとリスキーな考えについて研究した場合は、どのような結果になったのでしょうか。

アメリカ・イタリア・シンガポール・イギリス・インド・フランス・ルクセンブルク・ドイツ・日本の大規模な共同研究によって、ストレスと経済・経営の関係性が明らかになっています。

ジェンナーロ・ベルニール、ヴィニート・バグワット、P.ラガヴェンドラ・ラウたちは、幼少時に地震・火山噴火・津波・山火事などの自然災害を経験したものの、悲惨な個人的体験には遭遇せずに済んだビジネスリーダー(企業の経営者・代表・社長など)を対象に調査研究を実施しました。

その結果、幼少期にトラウマ的体験を経験したビジネスリーダーの多くが、非常にリスク愛好的なパーソナリティを形成しているということが判明しました。

これは、企業等の最高経営責任者の幼少時の災害体験の激しさと、企業がリスクをどれだけ負うかの間には関連が認められるという可能性を示唆しています。

ビジネスリーダーであるということは、経営や商売に関して、ある一定上の知識や才能を持っているということになります。

しかし、そんな有能なビジネスリーダーでも、幼少期のトラウマ的な経験が、現在の経営方針に無意識的に影響を及ぼしてしまっているのです。

研究の結果、幼少時に災害にあった経営者のうち、悲惨な目に合わずに済んだ人たちは、攻撃的な経営を行うような企業を率いているが、悲惨な現場を目撃した体験をもつ経営者は、より保守的な経営をする傾向があることが判明しました。

この研究の最大の特徴は、ストレスを経験したのが最近ではなく、はるか昔であるということです。

現在は経営者になっていたとしても、トラウマ的経験をした時には、自分が将来的に経営者になるなどとは夢にも思っていない人が多いでしょう。

つまり、ストレス経験と経営方針に時間的なつながりはほとんどないということです。

このように、ストレスが意思決定・選択行動に及ぼす影響は、時間を超えて働くということなのです。